オーシッタイ(大湿帯)のCAFE「しゃし☆くまーる」
2009年02月26日

前から一度行きたいと思っていた、沖縄本島で最後に電気と電話が通ったという、
本島北部ヤンバル(山原)地域の山奥にある秘境、オーシッタイに行ってきました。
オーシッタイは、名護(なご)市に属していますが、東村(ひがしそん)との境界に
近い山の奥深くにあります。

沖縄自動車道宜野座(ぎのざ)インターでおりて、国道329号線から国道331号線を
北上し、県道14号線に入ってしばらく走ると、オーシッタイの案内板があります。
他にも国道331号線から直接山道に入っていくルートや、東シナ海側の国道58号線から
山道に入っていくルートがあるようです。
私の中では、「未開の土地」というイメージだったので、オフロードの車でないと
進めないような、未舗装の悪路を想像していました。

案内板から山道に入っていくと、狭いですけど、舗装されてます。
道幅が狭いので、対向車とすれ違うための待避所があちこちにあります。

途中に梅並木があります。
この梅並木は、TV番組「さんま玉緒のあんたの夢をかなえたろうか」で取り上げられた
ことがあるそうです。
けっこう観光地化しているのかな、と思いました。
森の中、所々に、開墾された様な畑や政治結社の看板や廃車なんかがあり、
一種独特な雰囲気も感じられます。

しばらく進むと、オーシッタイの地図がでている看板があります。

その後ろの階段を上った奥に、「電気・通信開通記念石碑」があります。

記念石碑には「この地に電灯がともり 電話が通じる 1982年1月 オーシッタイ自治会
8世帯23名」と書かれています。
沖縄本島で最後に電気と電話が通った場所、ということは知っていましたが、
電気が通じたのは、なんと1982年です。
それまではランプで生活していた訳ですね。


さて、更に道を進むと、途中で舗装がなくなり、まもなくオーシッタイのほぼ中心にある
「CAFE しゃし☆くまーる」に到着しました。

私の想像では、山奥の悪路を進んでいくと、突然開けて古い集落が現れるのかと
思っていましたが、実際は、山奥の道の中に点々と家がある、という感じです。
漢字で「大湿帯」と書くことから、湿地があるかとも思っていましたが、
それらしき湿地も見あたりません。

早速「CAFE しゃし☆くまーる」に入ってお茶することにしました。

ここは、静岡から移住していらしたご夫婦(常盤さんという方です)がやっている
とてものんびりしたお店です。
土日限定のカレーがあると聞いていたので、注文したら、
「2年くらい前から出していない」とのことでした。残念。
なんでも、カレーはご主人が作っていて、畑仕事が忙しくなって
作れなくなってしまったとのこと。
「ここでの生活は大変でしょう?」と訪ねると、意外な答えが。

「たしかに、ここには何もないけど、平日とか、特に夜はとっても静かですよ。
この静かさを経験したら、もう他の所には住めない。」と言っていました。
夜にフクロウが入ってくることもあるそうですよ。
ご夫婦が静岡県からオーシッタイに来られて、喫茶店を開かれたのは
平成8年(1996年)で、ランプ生活は経験してないそうです。
店名の「しゃしくまーる」は、インドの言葉で「月の息子」という意味だそうです。
メニューは、ドリンク数種とケーキ、ピザなど。

ピザをいただきました。シンプルだけど、美味しかったです。
以前、タレントの所ジョージさんにテレビで紹介されて、週末には観光客の方が
増えたそうです。
ちなみに、所ジョージさんは沖縄本島に、大きな敷地の別荘を持ってますよね。
どこだか知らないし、特に興味もないですけど。

店には看板猫(?)がいます。名前は分かりませんが、店の内外をうろついています。
人に良く慣れていて、おとなしく、気に入ったら膝の上に乗ってきてくれます。

また外には看板犬(?)がいます。こちらも名前は分かりませんが、
犬種はなんと、沖縄県指定天然記念物の「琉球犬」です(!)。
琉球犬のルーツは縄文時代初期に、九州地方から沖縄方面へ渡る人々が同伴した
マタギ犬(山岳狩猟犬)だと考えられています。
弥生時代に入ると、北海道と南西諸島を除く地域には、渡来人とともに北方系の犬が
流入し、土着の日本犬(いわゆる縄文犬)はそれらの犬と同化し、姿を消してしまいます。
その一方で、北海道と沖縄県では、本土と離れているため、縄文犬の血統が
維持されたと考えられています。
最近の研究で、北海道の北海道犬と琉球犬は遺伝子的に非常に近い関係に
あることが証明されているそうです。

要するにこのワンちゃん、縄文犬の遺伝子を持つ、
貴重な犬なのです!
原種に近いせいもあって、顔が大きく、ちょっとこわいですが、見かけによらず、
とてもおとなしくて、頭を撫でたら手をペロペロ舐めてきます。
琉球犬は、戦前から本島北部(山原)や八重山において、イノシシ狩りに
活躍していたそうです。やっぱり強いんですね。
本土で琉球犬に会うことは、まずありません。
それだけでも、那覇から頑張ってオーシッタイまで来て良かったです。
ここオーシッタイは、明治時代に新しく開墾された土地だそうです。

明治12年(1879年)の廃藩置県により、失職した琉球王府勤務の士族層
(人口の2〜3割)の救済のために,ヤンバルでは杣山(そまやま;公有林野)
の開墾を推進したとのことです。
名護市にある名桜(めいおう)大学の記録によると,大正中頃のヤンバルには
200余りの開墾集落があったそうですが、
戦争の混乱や伝染病などで過疎化が進み、次々と廃村になってしまいました。
その後、廃村の危機を乗り越え、他県からの移住者を迎え、
現在に至っているそうです。
帰り道、「わ」ナンバー(レンタカー)が、かなりのスピードで走っているのが
気になりましたね。
ヤンバルは、天然記念物のヤンバルクイナを始め、ヤンバルを住まいとする
生き物たちの場所です。
毎年、ヤンバルクイナの交通事故が新聞にでています。
クイナは性質上、ネコのように、突然道路に飛び出してきます。
早朝と日没頃が活動時間ですので、気をつけましょう。
観光客の方、安全運転をお願いします。
しゃし☆くまーる
住所・交通 名護市源河2523-5
国道58号線より県道14号線へ
TEL 0980-55-8360
営業時間 11:00~18:00
定休日 月・火
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Posted by 相方さん at 22:00│Comments(0)
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