注射に代わり「貼る」新型インフルエンザワクチン開発中
2009年10月06日
10月5日付の日経新聞によりますと、
新型インフルエンザワクチンで、
従来の注射針に代わり、
皮膚に貼り付ける
新タイプのワクチンを開発中だそうです。
開発を急いでいるのは、「サロンパス」などで
知られている久光製薬。
久光製薬と化学及血清療法研究所(熊本市)が開発したのは
約1cm角のシール状ワクチン。
この1cm角のシールの中に、長さ数百マイクロメートル(マイクロ=100万分の1)の
超微細な突起が約千本出ており、腕などに押しつけるように張ります。
短い突起は皮膚の中までしか入らず、神経に達しないため、痛みはほとんどなく、
事故の心配も注射より少ないそうです。
貼るだけで痛みがないので、
注射嫌いな方には朗報ですね。
そのうえ、ワクチン効果も
注射よりも高められると期待されているのです。
超微細な突起は、液体のワクチン成分を固めて作られていて、腕などに張ると
皮膚内に成分がゆっくりと溶け出す仕組みになっています。
皮膚には、ワクチン成分を認識し、ウイルスを攻撃する
抗体の製作に導く特殊な免疫細胞が、
皮下組織などより多く存在するので
効果が出やすいのだそうです。
これにより、「注射より少ないワクチンの量でも、効率よく効果が得られる」と
期待されています。
このようなしくみはTDDS
(Transdermal Drug Delivery System
=経皮薬物送達システム)と呼ばれています。
TDDSは、皮膚を通して長時間安定した速度で薬物を体内に送りこみ、
薬物投与の最適化を可能にしたシステムです。
薬物は、角質層→表皮→真皮を透過し、毛細血管より体内に送りこまれます。
皮膚に貼付してゆっくり薬剤を投与するため、万一副作用が発現した場合などは
剥離により直ちに投与中断することも可能です。
こうした新方式は扱いが簡便で、集団接種などに適しています。
新型インフルエンザの感染拡大に対する懸念が広がる中、
米欧メーカーも開発に力を入れているそうです。
なんでも、NASA(アメリカ航空宇宙局)で、
宇宙飛行士の「宇宙酔い」の酔い止めにも、
この方式が使われた実績があるとか。
久光製薬ではシール方式を使ったマウスの実験で季節性インフルエンザの
ワクチンの効果をすでに確認しており、数年内の実用化を年頭に臨床試験の
準備を進めているところです。
ただ、新たな医療器具・医薬品として、厚生労働省の
承認を得る必要があります。
海外では仏サノフィ・アベンティスが今年2月、微細な針による皮膚内への
インフルエンザワクチン接種について、欧州連合(EU)の規制当局から
すでに承認を得ています。
日本では審査に数年かかると
いわれています。
少なくとも今までは。
人の生死に関わる薬品なので、
慎重な臨床試験は当然必要ですが、
現状ではワクチンが不足しているのも事実です。
すでに日本国内だけで
27人の方が亡くなられています。
さらに世界では、
新型インフルエンザによる死者が
4,000人を超えているのです。
すでにパンデミックの状態であり、
非常事態といえます。
厚生労働省は、医療機関や製薬会社と連携して、
臨床試験を急ぎ、新薬の承認を加速してほしいです。
Posted by 相方さん at 23:00│Comments(0)
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